どらごにっくないと

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街角の罠

  • 2008-06-30T16:01:22
  • 桜紫苑MS
【オープニング】
 まだ太陽も昇らぬ早朝に呼び出された。
 夢の中から叩き起こされた魔皇達の寝起き姿には、それぞれに個性が出ている‥‥などと悠長な事を言ってはいられなかったと、うぇいとれすは居住まいを正す。
「大変です、皆様」
 寝間着にカーディガンを羽織っただけの月見里葵の表情は硬い。
「つい先ほど、伝から緊急の連絡が入りました。京都市内に潜み、情報収集に当たっていた逢魔達に危機が迫っております」
 京都の地図を広げ、葵は洛東の一地点を指し示した。
「ここ数日、彼女達の不調が伝えられておりました。今日にでも様子を見に行こうと思っていたのですが、どうやら少し遅かったようです」
 葵が広げた地図の上、イレーネがペンで印をつけていく。以前につけられていた印と同じ場所が、二重の丸で囲まれた。
「この数カ所における観光制限が解除される。『必要が無くなった』そうだ」
 銀閣寺、清水寺、地主神社、南禅寺。
 これまで神帝軍の動きがあった場所だ。歴史的史跡、名跡をテロから守るという名目のもと、観光客に対する入場制限が敷かれたのは数ヶ月前の事。
 神帝軍の目的を探る為に、何度か出向いたのだが‥‥。
「シャンブロウとセイレーンの少女が普通の学生として、哲学の道の近辺で暮らしておりました」
 葵の話によると、2人の少女は、体が重く感じると訴えていたらしい。それが、昨夜の午前零時を過ぎた途端に人化が解けてしまったという。
「それだけではありません。彼女達は人化が出来ず、その本性のままの姿で神帝軍の間近に潜む事を余儀なくされております」
「‥‥観光制限が解かれた代わりに、魔皇や逢魔を発見する為、魔看破を用いたパトロールが強化されている。彼女達が見つかるのも時間の問題だ」
 とんとイレーネの指先が地図を叩いた。
「既にアパートは出ている。この地域内のどこかに、彼女達は隠れている。逢魔としての能力も使えなくなって」
 路地裏、廃屋、どこかの床下‥‥、隠れる所は多いだろうが、それにも限界がある。太陽が昇り、明るくなった後には誰かに発見される可能性も高い。神帝軍に限らず、一般人に見つかっても大騒ぎとなろう。
「途切れ途切れの伝達の歌声がそれだけを伝えて届いたのが最後です。どうか魔皇様、一刻も早く彼女達を助け出して下さい」
 スピリットリンクの相手に未だ出会わぬ逢魔の少女達。どれほど心細い思いをしているであろうかと魔皇達は何かに急かされるように席を立つ。
「あ! どうか皆様もご注意下さい。彼女達の不調に神帝軍が関わっているのであれば、皆様にも影響が及ぶやもしれませんから!」
 背に投げられた葵の声に、彼らの表情が引き締まった。


【本文】
●作戦名は
「散財さんスペシャル 今月も緊縮財政デス」
 ばんと掲げられた作戦名に、誰もが一時言葉を失う。
「え‥‥えーと、説明して下さると嬉しいのですが?」
 僅かにずれ落ちた眼鏡を押し上げて、柊日月(w3a201)は川島英樹(w3a170)に尋ねた。作戦名を提案した当の本人は、改めて問われた事さえも心外と言わんばかりの表情で瞬きを1度。
「‥‥17,800円也」
「は?」
 英樹と、示された彼のナイロンジャケットとを見比べて、日月は固まりかけた笑顔のままで首を傾げる。
「こっちの和柄のハンチングが‥‥」
「そうか、分かった! 分かったよ!」
 勢い込んで、風海光(w3g199)は英樹の手をがしりと掴んだ。その顔に浮かぶ満面の笑みにはわざとらしさの欠片もなく、彼は英樹の意図を悟った事を純粋に喜んでいた。
「お小遣い、使い切っちゃったんだねっ」
「いや、小遣いとゆーわけではな‥‥」
「分かるよ! その気持ち! 次のお小遣いまで10日もあるのに、お財布の中に1000円しかないと不安だし、心細いものだよねッ」
「そうですけどね。でも、違いますよね」
 あはははは。
 爽やかに笑って光に同意を、英樹に形ばかりの確認を投げかけて、加藤信人(w3d191)は手を打ち合わせた。乾いた音が店内に響く。
「じゃあ、そういう事で作戦名は決定です」
「‥‥決定なんですか」
 笑顔で反論を封じた信人に、日月は溜息を落とすと降参と片手を挙げた。
「では、連絡の際には「散財さん(以下略)」と入れる、と」
 小さく咳き払って、水滝刃(w3h934)は仲間達を見回す。
「ともかく。気を引き締めて行こう。何が起こるかわからん世の中だからな」
 状況から考えると、彼ら魔に属する者達に対して何らかの力が働いている可能性が高い。刃の言葉に、ディラス・ディアス(w3h061)も頷いた。
「その通り。逢魔の少女達を見つけても、安全に脱出させなければ何の意味もない。魔皇殻やコアヴィークルの召喚さえ出来なくなる事も想定して慎重に行動を」
「‥‥彼女達は、きっと心細い思いをしているはず。例えどれほど危険であろうとも、一刻も早く迎えに行ってあげなければ」
 周囲の大人達が信じられなかった自身の幼い頃を、暗闇の中で震えているであろう逢魔達に重ね合わせて、キャンベル・公星(w3b493)は踵を返した。論じるよりも先に体が動く。
「そうだな。こうしている間にも神帝軍の手は迫っているだろうから」
 短い時間で葵が用意した逢魔の少女達の情報に目を通し、刃は信人と頷きを交わす。
 夜明けまで残された時間は僅か。扉を開くと、春の気配の混じる夜の空気に気持ちを引き締まる。
 次々と町へと出る仲間達に続こうとした英樹は、肩を叩かれて振り返った。茶寮のうぇいとれすが、無言で彼の手に何かを滑り込ませる。
「何だ?」
 ぽんぽん。
 宥めるような手と、寄せられた眉に口元の微かな笑み。直訳するに‥‥
「何も言うな。黙って納めておけってトコロかな」
 手の上に残されたコーヒーチケットと雫の顔とを黙って交互に見ていた英樹が心中呟いた言葉が何であったのか。それは誰も知らない。

●警戒
「キャニーさんの言う通り、その子達、きっと寂しい思いしているよ。早く探し出してあげなくちゃ」
 まだ暗い京都の町を2人で歩く。
 元気良く、けれど幾分潜められた光の声に、翼は小さくうんと頷いた。ここに来るまでの間、何度も警ら中の神帝軍を見かけた。その度に、見つかりはしないかと体が震える。主である光と共にいても心臓が冷えそうな心地を味わうのだ。主をもたず、ただ身を隠す事しか出来ない少女達はどれほど恐ろしい思いをしているのであろうか。
「やっぱり心配だよね? 仲間だもんね。でも、大丈夫だよ。きっと僕が見つけ出すから!」
 自分に向かって腕を伸ばした光に、翼は、やはり頷くしか出来ない。そんな翼に嫌な顔をするでなく、明るく元気づけるように言葉を紡ぐ。
「翼ちゃんも、僕が絶対に守るからね」
「わ‥‥私も、まだ自信ないけど光くんの力になりたい」
 笑った気配がした。
 辺りはまだ暗くて、光の表情まで見る事は出来なかったけれど、確かに彼は笑ったのだ。
「うん。じゃあ、約束!」
 手を取られ、小指が絡み合う。
 頬が熱くなる。
 思わず俯いた翼の耳に、小さな振動音が届く。
「あ、メールだ」
「散財さん(以下略)」で始まるメールを開くと、光は立ち止まった。
「川島さんからだ。この先の学校にはいなかったみたい。翼ちゃん、僕達は別の学校に行こ」
 逢魔の少女達が潜んでいるこの地域には学校が多い。学生でもある彼女達が身を隠すとしたら、慣れ親しんだ学校であろうというのが、彼らの一致した見解であった。
 同時刻、同じメールを受け取った刃はペンライトの細い光を頼りに読んでいた地図に×印を書き込んだ。
「もうすぐ、夜が明ける」
「分かっているさ」
 感情を押し殺したレムウスの言葉に素っ気なく答えて、刃は考え込む。警らの神帝軍は思っていた以上に多い。ニードルアンテナを使うのも躊躇われる程だ。
「下手に騒ぎになると、彼女達の身にも危険が迫る」
 壁を乗り越えて戻って来た信人が首を横に振るのを確認して、刃は携帯のボタンを押した。外れと思うか、めぼしい場所がさらに絞られたと思うか。
 刃は後者だった。
「場所を変えましょう。もう大丈夫?」
 携帯の液晶画面を眺めていたキャニーの呟きに、スイは目を開く。胸の痛みは治まっている。パトロールの神帝軍は建物の陰に潜む彼女達に気づく事なく通り過ぎていった。
「はい。‥‥ユイ、いらっしゃい」
 腕の中に飛び込んで来た小さなキツネを愛しそうに撫でて、スイは主を見る。
 神帝軍には、今のところ何の変化もない。逢魔の少女達も、彼女達を探す仲間の動きも察知されてはいないようだ。
「水滝さんから連絡がありました。居場所が絞り込めたようです。わたくし達もそちらへ向かい‥‥スイ?」
 きゅっと胸が痛んだ。これは、先ほど感じた痛みと同じだ。
「見つかったのですか?」
 身構えたキャニーが見据える先、建物の合間から覗く通りを警らの神帝軍が慌ただしく走り去っていく。どうやら、キャニー達を見つけたというわけではなさそうだ。
「一体、何があ‥‥」
 はたと、キャニーはスイと顔を見合わせた。考えられる可能性は幾つか。そのどれもが、彼女達の仲間の危機を示していた。

●影響
 DFをいくつか使い、魔皇殻を召喚した日月は、車の助手席に座るペトラを見た。
「あなたは変わりはないですか?」
 この暗い町の中に潜んでいる少女達は、人化が解けているという。逢魔の力も使えないというのだから、ペトラにも何らかの影響が及んでいるかもしれない。
 尋ねた日月に、ペトラは軽く首を振る。
「別に、何も感じません」
「そうですか」
 それぞれの能力差か、魂の絆を持つ者と持たぬ者の差か。日月は何も言わずに手を閉じ、また開くを繰り返す。
 DFを使う毎に体が重く感じるのは気のせいではないだろう。
「‥‥連絡が」
 日月の携帯に届いたメールに、ペトラは僅かに眉を寄せた。メールは2通。1通は刃から少女達の居場所を絞り込んだという報。そして、もう1通はキャニーからの緊急連絡だった。
「参ったな」
 思わず漏れた呟き。怪訝そうに首を傾げたペトラに、近くにある自販機から缶コーヒーを2本買ってくるよう頼んで、日月は愛車のエンジンをかける。
 疲れを感じる程、DFを使ったわけではない。なのに、この倦怠感は何なのだ。
 腕を動かすのも億劫に感じる今、神帝軍と事を構えるのはまずいと彼の本能が告げる。
「仕方がありません。私はお姫様達を無事に送り届ける役を引き受けましょうか」
 味のあるボティフォルムを持つ彼の愛車は、運転者の不調を十分に補ってくれるであろうから。

●発見
 刃とキャニーの連絡を受けて、逢魔の少女を捜していた者達は少々の焦りを抱きつつ、同じ場所を目指していた。
 少女達を見つけるのが先か、それとも神帝軍が到着するのが先か。
 もはや一刻の猶予もない。
 水本一郎(w3b359)は、自分の逢魔を振り返った。
「影山、歌だ。歌でこのどこかにいる彼女達に我々の存在を知らせるぞ」
 危険は承知。
 だが、怯えた少女達には救出に来た者と敵の区別がつかないかもしれない。仲間がそばまで来ていると知らせておく必要がある。余計な時間を取られる事がないように。
 声量を絞って歌い出した影山から闇を纏ってそびえたつ校舎へと視線を巡らせる。窓に揺れ動く小さな光に、水本は全てを託した。
「‥‥影山。神帝軍の奴らが来たら、体を張ってでも止めるぞ」
 そこへと最初に辿り着いたのは刃であった。
 校舎の外れにある音楽室の、古いピアノの陰で身を寄せ合っていた2人の少女の姿。安堵で、体に籠もっていた余計な力が抜けて行くのを感じる。
 ペンライトの光の中、震える少女達に、レムウスは己の袖を捲った。その腕にあるのは魔操の篭手。
「私達は‥‥お前の仲間だから。怯えるな‥‥信じろ」
 その言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、息せきって飛び込んで来た光と翼が少女達の無事な姿に「よかった」と呟いてその場にへたり込む。
「あ〜これこれ、遠足は家に着くまでが遠足です。任務は完遂するまでが任務ですよ」
 にこにこにっこりと2人を窘めたディラスの後ろから、ぴょっこりと顔を出した智がお仲間に向かって手を振った。彼女の人化も解け、頭にはしっかり猫耳が生えいる。
 レムウスと智が自分達と同じ逢魔であると知り、周囲に立つのが自分達を助けに来た魔皇であると知って、少女達の緊張の糸が切れた。
 泣き出した少女達に、どこか慌てた風に刃がポケットを探る。
「こんなものしかなくて悪いが‥‥」
 差し出されたのはキャンディ。おずおずと手を伸ばした少女に、魔皇達も互いに笑み交わす。
「和んでいる暇はないぞ。神帝軍の奴らが近い」
 最後にやって来た英樹が顎をしゃくって外を示した。
 言われてみれば、外が騒がしくなっているような気がする。
「急いで急いで! 柊さんが待ってるよ!」
 ぱたぱたと駆け寄って、雫は少女の肩に用意していた自分の上着をかけた。そのまま腕を取って立ち上がらせる。
「信人や水本が神帝軍を引きつけている。今のうちにここを離れた方がいい。雫ちゃんに付いていけば、後は日月が茶寮まで送り届けてくれる」
「あ、待って! これも!」
 自分のコートを脱いで、光は少女に着せかけた。
「体、冷えてるもんね」
 それならば、とディラスが手品のように懐から毛糸の帽子を取りだす。これならば、茶寮までの道程、多少は誤魔化せるだろう。
「智のコスプレ衣装がこんな所で役に立つとは‥‥」
 しみじみと感慨に耽るディラスを押し退けて、智は早くと急かした。

●攪乱
 回転を止められたタイヤが地面を滑って耳障りな音を立てる。
 わざとらしいタイミングで飛び出して来た自転車に、彼らは反射的に身構えた。先ほどよりも薄くなった闇の中で目を凝らす。2人乗りのぼんやりとした輪郭が浮かび上がった。
「いくぞ、影山」
「了解っす、アニキ!」
 大きく車体を反転させて、水本は力を込めてペダルを踏み込んだ。前カゴに入れた缶ビールが鈍い音を立てる。
 追ってくる警ら隊を煽りながら、先ほどから揺られ続けているアルミ缶へと視線を投げる。勿体ないが、これはこれで使い道がある。
 ブレーキを緩め、水本は籠へと手を伸ばした。
 向きを変え、追っ手のど真ん中に突っ込んで行く彼の意図を、逢魔はしっかりと察したようだ。放り投げられた缶をキャッチして、影山は勢いよくプルトップを引いた。
「ティガーズ、マジック139点灯オメデトウ〜!」
 振り掛けられるビールと響き渡る豪快な笑い声と。
 呆気に取られる警ら隊を後目に、色気の欠片もない男2人の相乗り自転車はドップラー効果を伴いながら細い路地へと消えて行った。
 怒声が沸き起こったのは、それからしばらくしての事。しかし、投光器が照らし出した周囲には、自転車の影どころか、猫の子1匹見あたらなかったのであった。
「なんか派手にやってるみたいですねぇ」
 よいしょと立ち上がると、信人は地面に突き立てていた剣を手に取る。灯された水銀灯の光で、十字の影が長く伸びる。
 人の罪の証。
 無償の愛の具現。
 神の象徴たる十字の印が魔皇の手にあるは何たる皮肉か。
「まぁ、あまり人の事は言えませんが」
 逢魔の少女達が無事に茶寮に辿り着くまで、出来るだけ長く時間を稼がねばならない。殿を買って出た信人の口元に笑みが浮かぶ。
 ここで犠牲になるつもりは毛頭ない。
 彼には帰りを待つ人がいるのだから。
「あまり手加減出来ませんから、自分の身が可愛ければちゃんと逃げてくださいね?」
 人化を解いた信人の気配を辿り、周囲を囲んだ警ら隊に向けて警告を発すると同時に刃を閃かせる。
「悪即斬改め、悪、即、突っ!」
 鋭く重い一閃が放たれた。彼らが怯んだその隙に、召喚した真ランスシューターを振り翳す。
 だが、DFによって具現化された大槍は、彼の意志に反して空気に溶けるように消えてしまった。
「な‥‥っ!? 馬鹿な! 僕の力はまだ‥‥っ!」
 逢魔の少女達の捜索に真狼風旋を何度か使ったぐらいだ。力が足りずに魔皇殻を召喚しきれないなんて事態が起きるはずもない。
 動揺が隠せない信人の体が目に見えない力で抑えつけられる。警ら隊の中に彫像言を使うグレゴールがいたのだろう。
 抵抗を試みるも、信人に残る力では跳ね返せない。
 この人数、そして呪縛された体。
 圧倒的に不利な状況下で、じりと包囲を狭める警ら隊を睨み付けた信人の目を眩い光が焼いた。
 腹に響く排気音と共に現れたバイクが、囲みが蹴散らす。
 動けずにいる信人の腕を、黒いライダースーツを纏った手が掴んで後部シートに引き上げた。
「参ります!」
 耳に届いた声は、キャニーのもの。
 アクセルをふかして、キャニーは行く手を遮る警ら隊の壁を突き破った。普段のしとやかな彼女からは想像もつかない荒っぽさだった。

●そして
 ふむとディラスは薄暗い茶寮の椅子に腰掛けて腕を組んだ。
 一旦は収束した事態に、僅かばかりの仮眠を取ろうと仲間達は部屋に戻っている。誰もが言い様のない疲労を感じているようだった。魔皇に「疲労」などは無縁のものだというのに。
「体が重い‥‥か。こんな感覚は久しく感じなかったのだが」
 魔皇として覚醒する以前、臨海合宿、魔の遠泳とか真冬のエンドレス持久走とか、へとへとになる位に体を酷使した時と似ている。
「疲労は使った『力』に比例している、か。なるほど。これは智の言う通りかもしれないな」
 逢魔が何気なく口にした「結界」という言葉を思い出して、彼は小さく肩を竦めた。
「本当、厄介な事になったものだ。プレイングの締め切りが近いというのに」
 ネットにさえ繋がっていれば、どこからでも送信出来るのが救いというものだ。配達日数を逆算し、シートと封筒、切手を出先に持ち込んでいた郵便媒体の頃に比べると便利になったものだと思う。
 もっとも、いくら便利になったとしても、切羽詰まるまで放っておくのは人の性か。締め切り前の慌ただしさと修羅場はいつもと変わらずにやって来て、その後には萌え尽きた灰が残されるのみである‥‥。
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この小説は株式会社テラネッツが運営する『WT03アクスディア 〜神魔戦記〜/流伝の泉』で作成されたものです。
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