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【Kouクリスマスシーズン】ケーキ作りアルバイト募集

  • 2008-06-30T16:13:55
  • 龍河流MS
【オープニング】
 世間様ではクリスマスケーキの予約が締め切られようとする時期になって、レストランバーKouの店主、安村幸恵はこんなことを言い出した。
「ケーキの予約を承ったわ。ついでだからもうちょっと予約集めて、盛大に売り出そうじゃないの」
 幸恵が言うことに、店員のユキトは異論などない。だが、しかしである。
「また、ヤス絡みなんですね。最近、とってもテンプルム関係が多いと思います」
「まだグレゴール候補登録を諦めてないからねー。まあま、商売繁盛はいいことよ」
 店の常連やその知人友人、及び自分の弟関連で結構な数のクリスマスケーキ予約を取れた幸恵は、相変わらず行き当たりばったりに店を運営していた。一番の大口が、どこぞでクリスマス会をするグレゴールの皆様用のケーキ予約なのだが、利益が上がればお客は選ばないという姿勢だ。
 ご時世的には、グレゴールとの接触を喜ぶものはいても嫌がらないのが普通だから、幸恵はこれも立派な隠蓑だと主張するが‥‥ユキトは賛同したものか、悩んでいる。ただし避けようとして疑われるよりは、確かに安全だろうと思っていた。
 なにしろ幸恵の弟の幸人の姉への信頼感は、並の姉弟よりよほど強い。色々事情があるんだろうなとは思っているが、さすがに面と向かって尋ねてはいないユキトだった。
 どうでもいいが、同名字違い、生年月日同じの友人と言うのは、何かと面倒なことも多かった。ユキトの場合、友人がグレゴールになったという事情もあることだし。
 ところで。
「商売繁盛はいいんですけど、こんなに予約取って、クリスマスに間に合うんですか?」
「困ったときのバイト頼み。うちのお客は趣味料理ってのが多いから、安価で扱き使われてくれるかもしれないわ。ケーキ付けるし」
「神奈川県の最低賃金は上回らないとー」
「日給五千円。拘束時間七時間で、休憩あり。どう、上回ったでしょ?」
 一生懸命電卓を叩いたユキトが、こっくり頷いた。ものすごくぎりぎりだが、とりあえず法律には触れていない。この賃金が十分かどうかは、応募してきた人の自己判断だ。嫌だったら、きっと来ない。
 それにケーキもつくから、仮に幸人にばれても文句は言われないだろう。幸恵の弟は、何かと細かいところに拘わる傾向があった。
 その反面、姉はおおらかというか、豪胆というか、いい加減というか‥‥な人だ。
「ところで、ヤスの予約って、どういうのなんですか?」
「子供の施設にプレゼントだって。正確には幸人じゃなくて、神奈川テンプルムからのご用命」
 予約票をひらひらさせた自分の魔皇に、初めて不安を覚えたユキトだった。テンプルムの『クリスマス企画児童部担当 葉山正治』なんて署名入りの書類が店の中にあるなんて、とても恐ろしい気がする。
 でも幸恵はけろりとして、ユキトにこう言った。
「そうそう。これ、内緒なんだって。だからユキト、誰にも言ったら駄目よ?」
 口が固いところも見込まれての注文だからねと注意されたユキトは、またこっくりしてしまったのだった。
 とりあえずKouでは、ご予約数はテンプルムからだけで四十を数えるクリスマスケーキ作りの、アルバイト募集が始まった。ケーキ一つ付きの薄給で扱き使われても構わない魔皇と逢魔は、応募してみよう。


【本文】
 レストランバーKouでのケーキ作りアルバイトの応募者は、こともあろうに十一人もいた。薄給扱き使われ志願者は、店主の安村幸恵の見込みより随分と多かったらしい。
 ちなみに最年少は桐生未咲(b854)と悠木みさお(g714)の中学生だ。その上はみさおの逢魔恭介で、他は十八歳以上、幸恵より年下。
「気合い入れて働きます。そうしないと、幽さんにどつかれるし‥‥もう、力仕事もなんでも来いですよ。ははは」
 力のない笑い方をしている流石猛(b246)は、先程ジャンガリアン・公星(f277)とその逢魔鳳と一緒に、横浜南部市場まで買い出しに付き合わされていた。大量の苺と卵はともかく、薄力小麦粉業務用三十キロ袋やグラニュー糖五キロ袋、生クリーム二リットル缶をそれぞれ複数運ぶのはちょっとした苦行である。
「帰り道、ちっとも速度が出ないんだもんな。もっと飛ばしたかったぜ」
「自分が運転していたわけでもあるまいに」
 四人掛けテーブルを二つ占拠した材料の山に目を見張った瀬戸マリア(b517)は、流石やリアン、鳳の苦労を労うより先に、一緒にやってきた吉沢由貴(c585)の肩をぽんと叩いた。
「よかったわねぇ、ママン。おかみさんだったら、持つだけで潰れちゃうわ。由貴さん、見るからに優男なんですもの〜」
「誰がママンでおかみさんだっ」
 端でどう聞いても、それは吉沢のことにしか聞こえなかったが、普通はそれを指摘はしない。マリアと吉沢の会話が、犬も喰わないものだったら口を挟むだけ馬鹿馬鹿しいと思うからだ。でも、たまにはそういうことを気にしない人もいる。正確には魔皇だが。
「でも似合いますわよ、その割烹着。さあさ、手早く準備いたしましょうね」
 自分も持参のクッキングコートを着けて、白鳳院昴(a531)が、にこやかに吉沢を誉めた。確かに割烹着が似合うので、誰も異論はない。それどころか未咲は彼を見習って、慌てて三角巾代わりのバンダナを頭に巻いていた。
 同様にエプロンと三角巾を着け、手を洗おうとしたみさおと恭介は、昴に腕時計を外すよう言われている。何かの折に周囲に引っかかったらいけないからだ。
 当然長い爪も指輪も駄目。マニキュアなんてもっての外だから、一番色々外させられたのはマリアだった。鳳はぶうたれながら、念入りに手洗い指導を受けている。
 その横では、柴崎勇(e606)が逢魔のほのかと一緒に、全員分のマスクを準備していた。粉を使う作業が多いので、念のために持ってきてくれたそうだ。ちなみに柴崎は調理師免許も持っているらしい。
「じゃあ、後でデコレーション見本図渡すから。上だけは経験者じゃないと心配だし」
「スポンジがまだ二十足りなくて、明日までに苺のショートケーキを四十? ここのオーブンの容量で間に合うんですか?」
 一度に六個焼けると言われて、柴崎はやれやれといった感じで頭を振っている。傍らのほのかはそれに不安げな様子も見せず、マスクを配り歩いていた。
 ともかくも、全員が手を洗い終えたら、ケーキ作りは本格的に開始である。
 ケーキのスポンジを焼くには、まず粉やグラニュー糖などを計って振るい、そこに色々混ぜ込んでいくことが必要だ。こうした作業には調理師免許も必要ない。もっと正確に言えば、調理師免許がなくても飲食店は開ける。
 そんな世間話の合間も手を動かしながら、みさおは流石が厳密に計ってくれた薄力粉を振るっていた。横では同じ作業を恭介がやっているが‥‥
「ちゃんちゃかちゃかちゃか、ちゃーん」
 パチンコ屋かなにかで掛かっていそうなメロディーを、口ずさんでいる。しかも調子と音程が著しく狂っているので、単なる騒音だった。当人はとても上機嫌だが、となりのみさおは煩くて堪らない。それで怒るかと言えば。
 どすっと音がして、恭介がうずくまるように倒れ伏した。途端にほのかがやってきて、店の奥に椅子を並べて恭介を寝かせている。みさおは元通り、粉を振るっていた。
「今、どうしたの? 大丈夫?」
「うるさかったから」
 そんな理由で逢魔を殴ったら駄目だ。いや逢魔じゃなくても駄目だし、まずは対話を目指さないでどうする。と流石が常識を説いたが、どうもみさおと恭介の日常生活とは相容れなかったらしい。
「勢いで誰か傷付けるはおかしいよ」
 それでも流石も、簡単に諦める性格ではないようだ。
 そんな粉担当の様子を横目に見ていた鳳は、手元がお留守だと昴に注意された。彼と彼女は卵を割っている。更にその卵を、白身と黄身に分けていた。昴は料理が趣味だけあって手際が良いが、鳳はそれにとても及ばない。余所見などしている場合ではないのである。
「もたもたしていると、お昼が食べられませんわよ〜」
「昼飯代は別でとるとか、言いそうだよな」
 日給のほかはケーキがつくだけだしと、鳳が正午直前の壁掛け時計を眺めてぼやいた。その姿に魔皇のリアンがもう嫌だと言いたげにかぶりを振っているが、鳳は気にしない。挙げ句に卵のからを落として、片付け担当のリアンに呆れた顔までさせていた。
 でも、苺のへた取りを任された未咲にしても、お昼ご飯は重大事だ。日給五千円からお昼代を出したら、実際は幾らになるだろうと計算している。実は彼女、さきほど苺のつまみ食いをしたのがばれて、三十円を給料から差し引かれることになっている。これ以上減ったら、大変に悲しい。
 よって現在、お腹をすかせながらも苺のへた取りに集中している‥‥つもりだった。しかしご飯の炊ける匂いがしてきて、ちょっと辛いかもしれない。
 なお、店内の大半の人々というか魔皇と逢魔が『ご飯炊けてる』と思っているさなか、マリアと吉沢だけは別のことに集中していた。彼らの仕事はスポンジの間に挟む苺を切ることだ。昴同様に料理が趣味の吉沢にはなんの問題もないが、マリアはまず苺一緒に自分の爪も削いでしまいそうな感じだ。
「ねえねえ、あたし、別の仕事が向いてると思わない〜?」
 とうとう神経を使うのに疲れたのか、マリアが自分で言い出した。けれども彼女は生クリームの泡立て中にハンドミキサーを振り回して吉沢の顔に髭を着け、グラニュー糖と上白糖の区別もつかず、卵が上手に割れなかったのだ。苺のへた取りは未咲一人で十分なのだから、彼女は今の作業をするしかない。
 いつのまにやら恭介が起きて、元の作業に戻っているから尚更だ。誰かと変わると言うやり方もあるのだが‥‥また一から作業を教える手間を、吉沢が拒んだのである。
「おまえが新しい仕事を覚える頃には、作業が終わっている。いいから黙って働け」
 そして指示以外のことはするなと厳しく告げた吉沢の声を遮って、店員のユキトがお昼ご飯だと皆に知らせていた。メニューはカレーライス。カレーは昴の差し入れで、ご飯は幸恵のお振舞だ。
 ここから、楽しいランチタイムのはず‥‥
「ですから、グレゴールよりファンタズマを暗殺したほうが、新たなグレゴールの発生に繋がらずですね」
 すでに焼いてあったスポンジを綺麗に二つに切って、生クリームを上手に泡立てて塗り付け、苺を挟み、また生クリームを塗ってスポンジを重ね‥‥といった難しい作業を幸恵としていた柴崎とほのかは、みさおと恭介と同じテーブルに陣取った。そんな彼らの昼飯時の会話はこれだ。本人達は小声で話しているのだが、皆が何事かと黙ってしまったので、店内によく響いている。
 けれども柴崎もみさおも恭介もほのかも、特に気にした様子もなく会話を続けていた。聞いていれば、彼らが伝(つて)からの依頼でも荒っぽい部類をよく受けていることが分かっただろう。今日は息抜きにケーキを作っているのかもしれない。
 ここでも流石が、スプーンを置いて立ち上がろうとした。もちろん四人に意見するためだが‥‥ユキトのほうが早かった。
「どうしてわざわざ、危ない思いしてまで神帝軍と戦うんですか?」
「ユキト‥‥それ逢魔のおまえが言うか?」
 流石の意見の先がユキトに向かったが、言われた側は首を傾げている。そうして一番近くにいた逢魔の鳳に、こう尋ねた。
「魔皇様に害があるなら戦うのも当然だと思うけど、そうでないのに危ないことします?」
「んー、これだと思う女のためだったらやる。リアンはどうしたって、恋人にゃならねえし」
 それは大事だねと頷き合っているナイトノワール二人を前に、流石は怒る気力もなくなったらしい。幸恵が皆に淹れてくれたほうじ茶を片手に、過激な四人に向かって静かにと仕種で伝えるに留めた。
 でも、これまでだって小声だったのに、これ以上静かにしようもない四人である。気にした様子もなく、やはり過激な会話を繰り広げていた。
 その一人のみさおと同じ歳の未咲はといえば、カレーライスの二杯目にチャレンジ中だった。彼女においしいを連発されて、昴は満足そうだ。でも、この時間に幸恵と交渉するのを忘れない。
「デコレーション? 四十個は全部同じようにって指定があるから、凝ったら駄目よ。自分で持ち帰るのなら、なにしてもいいけど」
 じゃあそうしたいと宣言したのは昴と、未咲もだ。後程未咲はケーキにもやしのお化けを飾って喜び、昴に怪訝な顔をされるのだが‥‥当人はやりたい放題が楽しくて堪らない。
 そんな中、リアンだけはケーキをミートパイにしてほしいと注文していた。もちろん後日の受け渡しになるが‥‥珍しいのは、極甘の指定が入ったことだ。普通ミートパイは甘くなどない。
 この変わった注文は、リアンのもう一つの申し出で幸恵に了解された。彼の家で処理に困っている着せ替え人形や特撮怪獣人形を貰ってくれるところがあれば、紹介してほしいと言うのがそれだ。ケーキと一緒に引き取ってくれるところがあると聞いて、リアンも喜んだが‥‥彼はそれが神帝軍だとは思いもしないだろう。
 ちなみにこの人形はプレミアがついていたりして、後日売りさばいた横浜テンプルムから市内の高齢者と子供の施設にタオルやノートが寄付された。
 そんなこんなで、最初のスポンジが焼き上がるのと同時に、ケーキ作りは再開された。が、今度は各自の仕事に動きがある。手が空いたみさおがスポンジの粗熱を取るために網に並べ、流石は未咲と苺を切る役に回った。恭介がいないのは、また歌っていたのにみさおが当て身を食らわしてしまったからだ。
 そうしてところてん式に吉沢とマリアが、デコレーションに回ってくる。この二人がセットなのは、マリアの料理音痴を監視するのも、吉沢の役目だからだ。ほとんど戦力外通告だが、マリアは気付いていない。
 挙げ句に苺にゼラチンを塗るのに使う刷毛で吉沢をくすぐってしまい‥‥
「それ、買い取りね。専門店の千円」
 幸恵に給与カットを宣言された。これはちょっと反省したようだが、すぐに立ち直った。
「一つのケーキに八つの苺? これ決まり?」
「味も形も同じという指定だそうだ。マリアは苺を乗せるだけでいい」
 もう他のことは絶対にしてくれるなと言い置いた吉沢は、ケーキに生クリームを塗り付けている。生クリームを泡立てるのはほのかの仕事で、細かいデコレーションは柴崎と幸恵がやっている。
 クリームをレース状に飾り付けるのは、マリアのみならず未咲も昴もやりたいのだが、まずは納品するケーキが出来上がらないと駄目と断られている。ここはお仕事レベルのスキル持ちに譲るしかなかった。
 徐々にスポンジ生地を混ぜる仕事もなくなって、スポンジの間に生クリームや苺を挟む作業は皆に回ってきた。でも未咲には昴が、鳳には流石が付いて、こまめに実技指導が加えられている。恭介はまだ倒れていて、リアンはユキトと一緒に洗い物とテーブルの上の片付けに邁進していた。
 こうして四十個のストロベリーショートケーキが完成しても、それでお仕事終わりではない。もちろんまだ自分のケーキの飾り付けも出来ない。ケーキ用の箱を組み立て、それに一つずつしまって、店の業務用冷蔵庫にきっちり納めて‥‥ようやく終わりだ。
「こんなに頑張ったんだから、自分で食べたいですわね〜」
 昴が何気なく漏らした言葉に、マリアと未咲が大きく頷いた。それを見て、吉沢はマリアにどんなケーキがいいのかと訊いている。
「じゃ、あたし達、先に帰るね〜」
 色々悩むと騒いでいたマリアは、あれこれ作ってもらわなきゃと言った挙げ句に、吉沢を引き摺って帰ってしまった。一応給料は受け取っていったが‥‥幸恵が未咲に言った。
「ケーキはいらないみたいだから、二つ目、千円でどう?」
 飾り付けを自分でしてみたいから、バイト料のほかにもう一つ買わせてと言っていた未咲は、ほくほくと絞り器片手にスポンジの並んだカウンターに駆け寄っていった。昴に習いながら、かなりごてごてとクリームを飾っている。昴はシンプルそうで、色々技巧を駆使したデコレーションを、時々失敗を誤魔化しながら作っている。
「他の予約品の甘味加減は、しなくて良かったのですか? スポンジは全部同じでしょう」
 料理人たるもの、画一的ではなくお客に合わせたらと柴崎は言うのだが、後は全部大人からの予約なもので、幸恵はフルーツの種類にこだわっていた。それで彼も、フルーツを切る手伝いはする。ほのかも黙々と仕事をこなしていた。
 しかし、この頃になって目覚めた恭介は。
「バイト代はお返しします。俺、ほとんど働いてないし。でもみさおちゃんが頑張って作ったから、ケーキは貰えますか?」
 こんな予想外なことを口走り、みさおを呆然と立ち尽くさせる荒技を発揮していた。面白い関係だと、鳳に観察されていることは二人とも知らない。知らないが、鳳の予想通りに恭介はみさおにまた殴られてうずくまっていた。
 リアンと流石はごくごく普通に、幸恵が飾り付けてくれたケーキを持ち帰るつもりで、事実はリアンはそうしたのだが‥‥
「うちのハニーが電話してきて、ケーキ一つ、あなたの給料から引いてって。帰ったら精算してくれるみたいよ」
 流石は管理人をしているアパートの住人のために、吉沢が持ち帰るはずだったケーキを持たされ、その料金を給料から引かれていた。
「あの人に精算するつもりなんて‥‥」
 ケーキ一つ二千二百円。お持ち帰りして素直に嬉しい人と、忘れちゃった人と、無理矢理買わされた人とは、それぞれに多分幸せな気持ちで家路を辿ったことだろう。
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この小説は株式会社テラネッツが運営する『WT03アクスディア 〜神魔戦記〜/流伝の泉』で作成されたものです。
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